Komonsのいい香りは、“あたりまえ”への疑問から 【前編】

2021.12.28
国産の天然香料に由来する複雑な香りが特徴のホームケアブランド、Komons。創業者の有井さんが「いい香り」を追い求める背景には、これまでのホームケア業界への疑問と家族への想いがありました。非合理的と知りながらも新たな選択肢を追求し続ける、熱意の源に迫ります。
ブランド
コモンズ / ホームケアプロダクト
ブランドが大切にしている想い
地球と暮らす
Sustainability
心も健やかに
Wellness

Komons 創業者の有井 誠さん

業界の論理に縛られない旗印。新たな選択肢「Komons」

―Komonsを生み出した背景には課題意識があったそうですが、どのようなものだったのでしょうか。

 

有井:食器用洗剤って「選択肢がない」んですよね。ものづくりをしたいと思っていた時期に、ちょうど子供が離乳食の時期になったんです。1日5~6回も食器を洗うと、肌は荒れてしまいますよね。それを「しょうがない」で済ませるのって、何か違う気がして。洗浄力が高くて値段が安い代わりに肌にダメージを与えてしまう物か、アトピーの方でも使えるくらい肌に優しい代わりに洗浄力が低くて汚れが落ちにくい物しかないように感じて。よく言えばシンプルですけど、どれも個性がなく面白くないと思ってしまいました。

そこで海外の物を探して取り寄せてもみたのですが、サイズは大きく、香りも人工的な似たようなものばかり。日本へのフィット感を考えたとき、もっといいものが作れるんじゃないか、違う選択肢を作れるのではないか、と感じたのが始まりです。

 

―既存の選択肢には、他にどのような問題点があるとお考えですか?

 

有井:「サプライヤー側のロジック」で動いているように感じます。例えば、多くの洗剤は濃縮液タイプで、裏を見ると小さく「素手で使わないでください」と注意書きがありますが、知らない人が多いと思います。それでも濃縮タイプが多く流通しているのは、商品を小さくして限られた面で数多く並べたい、配送コストを下げたい、などの経済論理があるからではと。

でも、肌に優しくないのって、ユーザーにとってはマイナスですよね。そこに「どうしてそのままなんだろう、おかしい」という疑問がありまして。「そうじゃないものがあってもいいんじゃない」と示す旗印にKomonsがなれればいいな、と考えています。

 

―「おかしい」と感じても、ブランドを立ち上げるまでにはエネルギーが必要だと思います。そのモチベーションは何だったのでしょうか?

 

有井:例えるなら怒りのような感情、ですかね。物事を続けるとき、マイナス感情の方が持続すると思うんです。「こんなものがあったらいいなあ」くらいのモチベーションだと、ハードな場面で「なくてもいいか」「わざわざつらい思いしてまでモノを作る必要ないな」と折れてしまいがちです。でも、モノを通じて「これはおかしい」と言いたかったからこそ、想いはずっと消えませんでした。

気分を上げるために、敢えて常識の逆をいく天然の香り

―有井さんの考える、Komonsの個性とはどこでしょうか?

 

有井:非合理性ですね……大企業中心の経済合理性へのアンチテーゼとも言えますかね。例えば、多くのブランドもこういった日用品商材の香りってすごく単調なものが多いです。安定性やコストなどを考えたら、人工香料を使って少ない種類の香りの方がいいですから。だから、Komonsは敢えて逆を突き通して季節ごとの香りを出すなど香りにはこだわっています。

また、Komonsのプロダクトは1本1本を紙で包んでいるのですが、初めはそれも倉庫スタッフから「店頭に並ぶとわかりにくくなるのに、どうしてこんなことをするの?」と非難されました。でも、既存の日用品・ホームケア用品は、遠くから見ても何かわかる視認性を意識していますから、その逆のデザインを行こう、と。

 

それに、ギフトでもらったとき「5,000円の洗剤か、ふーん」って使うのと、商品の箱を開けてこだわりの包装・コンセプト・原料・香りを体感してから使うのとでは、体験が違うじゃないですか。情緒を大事にしている化粧品や服とは違い、なぜか合理性の極地となってしまっている洗剤などの低関与商材に対して、どれほど化粧品などをはじめとするパーソナルケアのような演出をできるか、挑戦しています。

 

―香りはKomonsのアイデンティティでも特に大事な部分だと思いますが、こだわり始めたきっかけは何だったのでしょうか?

 

有井:最初から香りに着目していたわけではありません。汚れがちゃんと落ちるけど人・環境に優しいというのがベースにあり、そこにまずデザインの観点が入りました。この10年で各家庭のキッチンはかなりオシャレになりましたが、洗剤や家事に関する日用品は代わり映えしないじゃないですか。その時点では、香りは「ちょっといいものにしよう」くらいでした。

ただ、作っている間の自問自答で、新しい選択肢としての価値・体験を考えたとき、香りって大きいな、と思いまして。というのも、いい匂いって、嗅ぐと理屈抜きにテンションが上がるじゃないですか。科学的にも、嗅覚は五感の中で唯一「理性」の脳を通らずに「感情」の脳に直接信号が届く。Komonsは情緒的な価値にも重きを置いているので、香りにもとことんこだわらないとなと考えました。

 

―香りを通じて、毎日の家事はどうポジティブに変わるのでしょうか。

 

有井:子供が生まれて家での時間が増えてから、何気ない日々の時間の質で「豊かさ」が決まるな、と感じることが増えました。毎日しなければならない義務としての家事が、「最高に楽しい!」までいかずとも、少しプラスになれば幸せに寄与できるのではないか、と。

ちなみに、ある調査では最も面倒だと考えられている家事は食器洗いだそうで、そこも後押しになりました。

 

―香り決めのルールや信念のようなものはありますか?

 

有井:一言で「〇〇の香り」と言えないようにすることですかね。

市場にある食器用洗剤は「レモンの香り」などが多いですが、好きな紅茶や香水などの芳香って一言では表せないじゃないですか。もちろんコストを考えれば柑橘系フレーバー1,2種類、くらいがいいのですが、「いい香り」を突き詰めると厚みがある複雑さが欲しくて。また、香料には人工・天然がありますが、コストの額が1桁くらい違うのでほとんどの企業は天然に手を出しません。だからこそうちは100%天然の、しかも国産の香料・精油を使って複雑な香りを実現しています。

 

Text by 5PM編集部

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