もくじ

1.そもそも漢方薬とはどんなもの?

2.漢方における診断方法と治療方針

3.漢方薬の種類

4.漢方薬の選び方・入手方法

5.症状別おすすめの漢方薬の種類

6.漢方薬を服用する際の注意点

まとめ:漢方で日々の不調を改善!

そもそも漢方薬とはどんなもの?

漢方は古代中国を起源とし、日本で独自の発展をとげた東洋医学です。漢方薬は漢方医学に基づいて処方され、さまざまな症状の改善に効果が期待できます。

 

漢方の起源

漢方の起源は古代中国とされ、室町時代以降は日本独自に発展してきました。現在使われている漢方の診断法や薬は、日本人の体や環境に合わせて改良され、長い歴史のなかで確立されてきたものです。

検査で病名を見つけてから治療を開始する西洋医学とは異なり、漢方では病気に対する体の反応から診断や治療を行います。

なお、「漢方」という言葉が定着したのは江戸時代後期に入ってからといわれています。

 

漢方薬とは

漢方薬とは、漢方医学の考え方に基づいて処方される医薬品のことです。2種類以上の生薬を組み合わせて作られたものが多く、さまざまな症状の改善に効果が期待できます。

また、漢方薬は煎じ薬やエキス剤などの形状があります。生薬を煮詰めて有効成分を取り出した液体をそのまま飲むのが煎じ薬で、液体を濃縮・乾燥させて顆粒状や粒状にしたものがエキス剤です。

日本では一般用漢方製剤として294処方が承認されており、そのうち148処方が医療保険の適用となっています。

漢方における診断方法と治療方針

漢方の診断方法や治療方針は、西洋医学とは大きく異なります。今起きている体の反応を把握し、診断・治療をするのが漢方の特徴です。

 

診察方法

漢方の基本的な診察方法は次の4つです。

 ● 望診 (ぼうしん):顔色や体型、表情などを診る

 ● 聞診 (ぶんしん):声の大きさや呼吸音などを聞く

 ● 問診 (もんしん):自覚症状やライフスタイルなど、状況を確認する

 ● 切診 (せっしん):脈や腹部などを触って確認する

他にも、舌の色や形を診る「舌診」を行うこともあります。上記の4つの診察結果から、その人の体力や体質に合った漢方薬が処方されます。

 

治療方針

漢方では、「証」や「気・血・水」といった独自の考え方で体の状態を診断します。

「証」とは漢方における診断名のことです。陰陽、虚実、寒熱などがあり、それぞれの「証」に基づいた治療を行います。

「気・血・水」は人の体を構成する要素で、それぞれのバランスが大切であるとされています。体に不調がある場合は、このバランスが崩れた状態です。漢方薬を用いて、その人にとって最適な状態に戻していきます。

漢方薬の種類

漢方薬は形状によって、以下の4種類があります。

 ● 湯剤:生薬の有効成分を煎じたもの・「煎じ薬」ともいわれる

 ● 散剤:生薬を粉末状にしたもの

 ● 丸剤:生薬を粉末状にして丸く固めたもの

 ● エキス剤:生薬からエキスを抽出し水分を飛ばして製剤化したもの・錠剤や顆粒などがある

湯剤は生薬と水を土瓶などで熱し、有効成分を取り出したものです。生薬特有の香りや苦みがあるため、飲みにくいと感じる人もいます。

散剤は生薬を粉末にしたもので、丸剤は粉末にした生薬にハチミツなどを加えて固めたものです。

エキス剤は生薬を煎じて水分を蒸発させ、粉末になった有効成分を錠剤や顆粒剤、カプセル剤にしたものを指します。

散剤や丸剤、エキス剤は生薬の味を感じにくい分、湯剤より飲みやすいと感じる人が多いようです。

漢方薬の選び方・入手方法

漢方薬は薬局やドラックストアなどの小売店で購入できるほか、病院で処方してもらうことも可能です。漢方薬の選び方や入手方法について解説します。

 

市販の漢方薬(一般用漢方薬)から選ぶ

ドラッグストアなどでは、症状に応じてさまざまな漢方薬が市販されています。風邪、肌トラブル、花粉症、鼻炎、便秘、胃腸虚弱、不眠、肥満、尿トラブルなど、漢方薬の種類だけでなく、メーカーもたくさんあります。

漢方薬の形状も錠剤、顆粒、ドリンクタイプなどがあるため、自分の体質や症状、飲みやすさに合わせて選ぶと良いでしょう。

一般用漢方薬は手軽に購入できますが、1日の服用量が医療用よりも少なくなっていることが多く、効き目がマイルドです。一般用漢方薬は医療用漢方薬の50~80%の成分量となっています。

ただし、葛根湯など一部の漢方薬には、医療用と同じ成分量の「満量処方」の商品があります。

 

病院で処方してもらう

効き目の良い漢方薬がほしい場合は、医療用漢方薬が良いでしょう。症状によっては、病院で漢方薬を処方してもらえることもあります。

医療用漢方薬は、医師の診察を受けたうえで必要と判断されれば処方されます。一般用漢方薬とは異なり、自分で選んで購入することはできません。

診察を受ける必要はあるものの、医療用漢方薬の方が成分量が多く、高い効果が期待できます。また、漢方薬の種類によっては保険が適用されることもあります。

最初から漢方薬での治療を希望する場合は、漢方外来を受診する方法も検討してみましょう。漢方薬局では効果の高い煎じ薬や散剤、丸剤も取り扱っているため、興味のある人は相談してみてください。

症状別おすすめの漢方薬の種類

漢方薬にはたくさんの種類があります。風邪や便秘などの身近な不調だけでなく、イライラや女性特有の悩みまで幅広く対応が可能です。症状別におすすめの漢方をご紹介します。

 

風邪の症状

もともと健康な人にとっても、風邪は身近な不調の一つです。ここでは、風邪の症状におすすめの漢方を紹介します。

葛根湯(かっこんとう)【体力中等度以上】感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛など                              
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)【体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出る】鼻炎、花粉症など
麻黄湯(まおうとう)【体力充実して、かぜのひきはじめで、さむけがして発熱、頭痛があり、せきが出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていない】感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまりなど

風邪のひきはじめには葛根湯が有名ですが、ふしぶしが痛いなら麻黄湯という選択肢もあります。鼻水やくしゃみがひどいなら、小青竜湯が向いています。

 

イライラや不眠の症状

イライラや不眠の症状には、次のような漢方があります。

柴胡加竜骨牡蛎湯           (さいこかりゅうこつぼれいとう)【体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘あり】高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症など                              
加味逍遙散(かみしょうようさん)【体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向あり】冷え症、虚弱体質、不眠症
抑肝散加陳皮半夏           (よくかんさんかちんぴはんげ)【体力中等度をめやすとして、やや消化器が弱く、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラあり】神経症、不眠症、更年期障害

体力の程度や体質によって、同じ症状でも自分に合った漢方は異なります。どれを選べばよいか迷った時は、医師や薬剤師などに相談しましょう。

 

便秘

便秘の症状におすすめの漢方を紹介します。

麻子仁丸(ましにんがん)【体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状】便秘、便秘に伴う頭重、のぼせなど                              
乙字湯(おつじとう)【体力中等度以上で、大便がかたく、便秘傾向あり】痔核、切れ痔、便秘など

 

胃の不調

胃の不調には下記の漢方がおすすめです。

六君子湯(りっくんしとう)【体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすい】胃炎、消化不良、食欲不振など                              
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)【体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向あり】下痢・軟便、消化不良、胃弱、二日酔、神経症など
止逆清和錠(しぎゃくせいわじょう)胃酸逆流による胸やけや胃もたれ、胃部不快感など

胃腸そのものが弱っているのか、ストレスが原因で胃の調子が悪いのか、胃酸過多になっているのか、状態を見極めて適切な漢方を用いることが大切です。

 

女性特有の悩み

女性特有の悩みには、次の漢方が向いています。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)【比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えあり】月経不順、月経異常、月経痛、肩こりなど                              
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)【体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸あり】足腰の冷え、貧血、月経不順など
芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)【体力中等度以下】月経不順、産後の神経症・体力低下など

芎帰調血飲は、産後の場合は体力の程度に関わらず使用できるとされています。ただし、医師の治療を受けている場合や妊娠中の場合などは、担当医に相談したうえで服用するか検討してみましょう。

漢方薬を服用する際の注意点

漢方薬は、適量を適切なタイミングで服用することが大切です。誤った方法で服用すると、効果が得られない可能性があります。漢方薬を服用する際の注意点をまとめました。

 

複数の薬を服用する場合

複数の薬を服用する場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

2種類の漢方薬を同時に飲む、漢方薬と西洋薬を併用するなど、複数の薬を服用すると、成分が重複して副作用が出やすくなる可能性があります。特に、カンゾウは漢方薬でも西洋薬でもよく使用される成分のため、注意が必要です。

また、効果が相反する成分が含まれた薬を同時に飲んでしまうおそれもあるため、自己判断せず専門家に確認してから服用してください。

 

漢方薬を飲むタイミング

漢方薬は食事の30分~1時間前、または食事と食事の間の時間帯に飲むのが一般的です。1日に飲む回数によって服用間隔が異なるため、服用する漢方薬の用法や容量に従って飲む必要があります。

漢方薬は水かお湯で飲んでください。お茶やジュースで飲むと、生薬の吸収が悪くなる可能性があります。

また、飲み忘れた分を後からまとめて飲むのはNGです。作用が強くなりすぎるおそれがあるため、1回分だけ飲みましょう。

 

漢方薬の副作用

漢方薬は副作用が少ないとされていますが、体質や体調によっては副作用が出る可能性もあります。胃もたれや食欲不振、眠気や体の痒みなど、副作用と思われる症状が出た場合は服用を中止し、医師に相談してください。

また、過去に使っていた漢方薬が残っていても、使用は控えましょう。漢方薬はその時の症状や体質に合わせて処方されます。今も同じ状態かはわからないため、専門家に確認してから服用してください。妊娠中・授乳中の場合も、漢方薬を服用する前に医師や薬剤師に必ず相談しましょう。

漢方で日々の不調を改善

漢方薬には数多くの種類があるので、体質や症状に合わせて選ぶことをオススメします。また、ドラッグストアやインターネットで手に入る一般用漢方薬のほか、病院で処方してもらえる医療用漢方薬もあります。必要に応じて医師の診断を受け、容量や用法に従って服用しましょう。

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【参考URL】

漢方薬の種類と選び方は? 常備におすすめの漢方薬も症状別で紹介|漢方について知る|漢方セラピー|クラシエ

いまさら聞けない「漢方」とは?種類や診断について | NHK健康チャンネル

漢方薬の基礎知識 - 神奈川県ホームページ

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