もくじ

1.アップサイクル商品とは

2.アップサイクル商品が注目されている背景

3.日本や海外の企業が開発したアップサイクル商品の事例

まとめ:アップサイクル商品で長く使えるものを

アップサイクル商品とは

アップサイクル商品とは、本来は捨てられていたような廃棄物や不要なものを原材料として、価値の高いものに新しく生まれ変わらせた商品のことを指します。再利用という点ではリサイクルやリユースなどと似ていますが、単純にもとの商品を再利用するだけではなく、新たに機能性やデザイン性を高めてアップグレードされていることが大きな特徴です。

環境問題に対する意識の高まりやSDGsの広がりなどにより、アップサイクル商品の開発に力を入れている企業も増えてきています。たとえば、廃棄繊維を用いてバッグやティッシュボックスにアップサイクルしたり、折れた野球のバッドをアップサイクルしてタンブラーを作ったりするなどさまざまな例があり、大きな広がりを見せています。

アップサイクル商品が注目されている背景

アップサイクル商品が大きな注目を集めつつありますが、なぜ近年アップサイクル商品への注目が高まっているのでしょうか。ここでは、アップサイクル商品が注目される主な理由を紹介します。

 

SDGsへの貢献

まずは、SDGsへの意識の高まりが挙げられます。SDGsとは持続可能な開発目標のことで、2015年9月に国連サミットで採択されました。SDGsには全部で17の目標がありますが、アップサイクルに関連する目標は「目標12:つくる責任 つかう責任」です。この目標では、生産者と消費者がともに地球環境や人々の健康を守るための行動を起こすことが求められています。

具体的には、リサイクルやリユースなど再利用を進めてゴミの廃棄量を減らすこと、人や自然に害のある廃棄物を減らして影響を低減することなどです。本来は捨てるはずだったものを再利用できればSDGs12の目標達成に貢献できる可能性があるとして、アップサイクルは注目されています。

 

資源の有効活用

資源の有効活用という点でも、アップサイクル商品の重要性が高まっています。石油や石炭、天然ガスなどの資源は際限なく作り出されるものではありません。地球上には限られた量しか存在しないため、このまま使い続けていけば将来的には枯渇すると考えられています。そのため、資源の無駄使いを減らすことや計画的に使うことが重要です。

また、先進国では食品が大量に廃棄されるという問題があります。一方、世界的に見ると食料不足は深刻化しており、フードロスの削減は早急に解決すべき問題です。製品や食品をアップサイクルして新しい商品に生まれ変わらせることにより、限られた資源や食糧の有効活用につながるとされています。

 

企業の社会的責任

企業の社会的責任(CSR)とは、企業が事業活動を行ううえで、社会や環境に対する配慮をしなければいけないという考え方です。利益を追求するだけではなく、社会や環境に配慮しながら、ステークホルダーに対して責任ある行動をすることが求められます。

社会的責任を果たすためには、企業は商品を製造する過程において環境破壊を引き起こす恐れがあることを認識することが重要です。そのうえで、環境保護に取り組むことが大切になります。

アップサイクル商品は、廃棄物の削減や資源利用を抑制できると考えられており、社会的責任を果たしながら事業活動を行えるとして注目が集まっています。環境問題への意識や関心が高まっており、環境に配慮した商品を選ぶという消費者も増えつつあるようです。

日本や海外の企業が開発したアップサイクル商品の事例

アップサイクル商品の注目が集まり、日本のみならず海外でも数多くのアップサイクル商品が開発されています。ここでは、日本や海外の企業が開発したアップサイクル商品の具体的な事例を紹介するので、参考にしてください。

 

廃棄食材で作った食品

食のサブスクリプションサービスを提供しているオイシックス・ラ・大地株式会社では、本来は捨てられてしまう野菜や果物の皮などを利用して新たな食品を生み出しています。

たとえば、ブロッコリーの茎で作ったチップスやリンゴの芯が入ったチップス、バナナの皮のジャム、コーヒーの豆かすを利用したチョコあられなどです。本来は捨てるはずのものをアップサイクルし、美味しく食べられる製品を消費者に提供しています。

 

ベッドシーツで作ったシャツ

オランダの企業Archivistでは、高級ホテルから回収したベッドシーツを活用して衣類を製造し販売しています。高級ホテルでは、耐久性が高く最高級の素材を使ったベッドシーツが使われていますが、ホテルの基準を満たさなくなったら廃棄されるという問題がありました。

Arcivistでは、使われなくなったベッドシーツを回収し、おしゃれで着心地のいい衣類にアップサイクルすることで、さまざまなシーンで使えるファッションアイテムに生まれ変わらせています。

 

使用済みの商品で作ったバッグ

バッグブランドであるマザーハウスでは、使用済みの商品を回収しています。使われなくなったバッグを解体し、その素材を利用して新しいバックや小物に生まれ変わらせるアップサイクルの取り組みを行っています。

マザーハウスのバッグには上質なレザーが使われているため、アップサイクルをするたびに価値が高まり、さらなる魅力がプラスされるという仕組みです。オリジナリティがあるアップサイクル商品は、世界中から注目を集めています。

 

印刷時に出た廃材を工作用として販売

ポスターやチラシなどの印刷サービスを行っているキンコーズ・ジャパン株式会社では、印刷時に出た紙やカッティングシート、アクリル、ターポリンなどの切れ端を工作用として販売しています。

キンコーズでは、毎日製品を作る過程で端切れが発生しますが、本来であれば捨てられる切れ端を、自由なアイディアで工作し新しく生まれ変わらせるというコンセプトです。アートやポスターケース、工作などに活用でき、資源の有効活用につながっています。

 

電子廃棄物で作った時計

イギリスのアパレルブランド「VOLLEBAK」では、マイクロチップやテレビの配線といった電子廃棄物を回収して、腕時計を開発し販売しています。電子廃棄物のほとんどは発展途上国に捨てられている、焼却の際に有毒ガスが出るなど、さまざまな問題を考えるきっかけとして作られたユニークな時計です。

また、同社はこれまでにも耐久性の高い衣類や植物で作ったTシャツなどを開発しており、環境問題やSDGsに取り組んでいる企業として知られています。

 

プラスチックごみで作ったアクセサリー

カエルデザインは、プラスチックごみを回収してアクセサリーを作っているブランドです。環境汚染や海の生き物に害があるとされている海洋プラスチックごみや、廃棄になった花などを活用して新しくアクセサリーとして生まれ変わらせています。

また、障害を持つ人たちと一緒にさまざまな製品を作っており、環境問題だけでなく働きがいや経済成長の目標にも大きく貢献しているブランドとして、注目を集めています。

 

廃タイヤから作ったバッグ

シールは、廃棄される素材を活用して新しい商品を生み出しているサステナブルブランドです。シールでは廃タイヤのチューブを使用した製品も販売されています。廃タイヤのチューブは柔軟性や防水性が高く、強度も優れているなどアウトドア用品に適した素材です。

本来なら廃棄される廃タイヤのチューブを活用して、耐久性の高いバッグやキャンプ用品などにアップサイクルしており、大きな注目を集めています。

 

着物や帯で作った靴

Relier81(ルリエ エイトワン)は、着物や帯などを活用して靴を製造しているブランドです。日本の伝統文化でもある着物や帯ですが、近年では着用する機会があまりなく身近ではないという人も多いでしょう。

Relier81では、古い着物や帯などの柄を活かした靴を作っており、気軽に日本の伝統文化に触れられる機会を作っています。日本国内の職人により、生地の補修から靴の製造まで丁寧に作り上げられたアイテムです。

 

野菜の皮や芯まで丸ごと使ったペースト

食品メーカーのミツカングループでは、通常なら廃棄される野菜の皮や芯などを丸ごと使用したペーストを開発しています。本来は廃棄される部分を使用することで食品ロスの軽減につながっています。

また、環境問題という観点だけでなく、味の良さにも注目が集まっているようです。美味しく手軽に野菜の栄養を摂れる食品として人気を集めており、ペーストだけでなくスティックやヌードルなど、さまざまなシリーズ商品が開発されています。

 

再資源化した衣類から作るジャケット

Annaut(アンノウト)は、断裁くずから作られた素材を活用してジャケットやスエットなどの衣類を製造し、アップサイクルに取り組んでいるブランドです。

Annautでは、衣類を回収して再資源化する「CLOTHLOOP」というシステムを導入しています。使用済みで使われなくなった衣類を回収、選別したうえで再資源化、新しい衣料品へとアップサイクルする取り組みを行っており、廃棄せずに循環する服を目指しています。

アップサイクル商品で長く使えるものを

廃棄物や不用品などを活用して作られたアップサイクル商品は、機能性やデザイン性も高く、長く使用できるものが多いでしょう。廃棄物から生まれ変わったとは思えない価値のある商品も数多くあり、アップサイクル商品を使うことで楽しみながら環境問題へ貢献できます。

Annaut(アンノウト)では、アップサイクルで作られたシンプルかつ丈夫なファッションアイテムを販売しています。アップサイクル商品に興味のある方は、ぜひご利用ください。

Annaut(アンノウト) | 5PM Journal

 

【参考URL】

アップサイクルとは?意味や商品例、アイデアなどを紹介。 服やバッグなど | 「森の中」森を知り、感じるためのメディア | 齋藤木材工業株式会社

身近にできるアップサイクルとは?食品や服、端材をつかった簡単アイデアもご紹介! - コピー・プリント・ポスター・名刺・製本などオンデマンド印刷のキンコーズ・ジャパン

アーバンリサーチの廃棄衣料アップサイクルブランド「commpost (コンポスト)」が、河淳株式会社とホテル備品を共同企画 | NEWS | URBAN RESEARCH Co., Ltd.|株式会社 アーバンリサーチ

球場のゴミ削減!折れたバットを再利用した「森のタンブラー for 福岡ソフトバンクホークス」|アサヒユウアス株式会社

12.つくる責任、つかう責任 | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

枯渇する資源(ものづくりと資源・エネルギー) - 探究ノート|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア

企業の社会的責任とは?サステナビリティとの違いを解説 | 記事 | 株式会社イマジナ

Upcycle by Oisix | フードロスに、新たな価値を

ベッドシーツを“着る”。オランダ発アップサイクルシャツプロジェクト「Archivist」 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

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