もくじ

1.アップサイクルとは何か

2.アップサイクルに取り組むメリット

3.アップサイクルに取り組む際の課題

4.アップサイクルに取り組む方法

まとめ:アップサイクル商品を生活に取り入れよう!

アップサイクルとは何か

環境に関わる言葉はさまざまですが、それぞれの意味の違いを理解できているでしょうか。例えば、リサイクルや、リユース・リメイク・リデュースは、いずれも意味合いが異なります。ここでは、アップサイクルの意味を確認しつつ、それぞれの言葉との違いを解説します。

 

アップサイクルの意味

アップサイクルとは、ものの価値を高めたうえで新しい製品として再利用することです。不要になったものをそのまま再利用することは、アップサイクルとはいいません。

例えば、廃棄する予定だった服に加工を加え、デザイン性の高い新しい服として利用するケースは、アップサイクルです。アップサイクルは、もとの製品を新しく作り直す過程で付加価値が生まれます。

 

アップサイクルとリサイクルの違い

アップサイクルでは、もとの製品のデザインや構造を活かして、新しい製品に生まれ変わらせます。一方、リサイクルとは、製品を原料に戻してから別の製品に再生することです。例えば、使用済みのペットボトルを溶かして、作業着や制服などの衣料品に生まれ変わらせるケースは、リサイクルといえます。

アップサイクルには、もとの製品を細かく分解・粉砕したり、溶かして精製したりする工程がありません。そのため、アップサイクルは、省エネに効果の高い取り組みといえます。

 

アップサイクルとリユース・リメイク・リデュースの違い

リユースは、製品を中古品としてそのまま再利用することです。リメイクでは、中古品をアレンジして再利用します。リメイクもアップサイクルももとの製品に手を加えていますが、リメイクでは加工後に価値が向上するとは限りません。例えば、着なくなった服を細かく切って雑巾にする場合は、価値が向上しているわけではないためリメイクに該当します。

また、リデュースは、使い捨てを減らす、不要なものを買わないなど、廃棄物を減らすことです。

アップサイクルに取り組むメリット

アップサイクルに取り組むと、SDGsに貢献でき、環境問題や食品ロス問題にもよい影響を与えます。国や企業はもちろん、1人ひとりがアップサイクルに取り組むべきメリットを解説します。

 

SDGs目標達成に貢献できる

SDGsとは、貧困や紛争、気候変動などの問題に対し、人類が2030年までに達成すべき目標として定められた17の目標です。SDGsは2015年に国連総会で採択されました。以降、目標達成に向けて、多くの国や企業がSDGsに配慮した取り組みを進めています。アップサイクルと関係が深い目標は、SDGs12「つくる責任 つかう責任」です。

SDGs12では、生産者と消費者それぞれに、資源を効率よく使い、廃棄物を減らすよう求めています。SDGsに貢献するためには、生産者が製造方法を見直すだけでなく、消費者も製品との関わり方を見直さなければいけません。社会全体でアップサイクルに取り組み廃棄物を減らせると、人々の健康保護や、自然環境への負担軽減につながります。

 

廃棄物の増加による環境への影響を抑えられる

アップサイクルへの取り組みで廃棄物の量を減らせると、環境への影響を抑えられます。環境省は、2020年のごみの総排出量は4,167万トンであり、東京ドームの約112杯分に相当すると報告しました。リサイクル率は前年よりわずかに増加したものの、依然として大量のごみが廃棄されている状態です。

適切に処理がなされなかった廃棄物による土壌汚染や、処分時に排出される温室効果ガスの発生など、廃棄物はさまざまな問題の引き金となります。また、廃棄物の処分場も不足しつつあります。環境省は、2020年時点で最終処分場の残余年数は22.4 年と報告しました。アップサイクルなどの取り組みにより、継続して廃棄物を減らす取り組みが必要です。

 

プラスチックゴミの削減につながる

アップサイクルは、プラスチックゴミの削減に貢献します。プラスチックは、ペットボトルや使い捨てのカトラリーなどに使われる便利な素材です。しかし、プラスチックゴミは、数多くの廃棄物のなかでも、環境に与える影響が大きいゴミの1つです。特に、海に大量に排出されたプラスチックゴミは、深刻な海洋汚染問題を引き起こします。

適切な方法で回収されなかったプラスチックが川に落ちると、海まで流されてしまいます。プラスチックは自然分解されません。そのため、海に残されたプラスチックごみは、海洋生物の生態系にも影響を与えてしまいます。アップサイクルによりプラスチックゴミを減らす行動は、海洋生物が暮らす環境を守ることにつながります。

 

食品ロスの量を減らせる

食品ロスの抑制にも、アップサイクルが効果的です。食品ロスとは、まだ食べられる食品を捨ててしまうことです。賞味期限・消費期限が迫っている、見栄えや食感が悪い、などの原因で、本来食べられる食品が廃棄されています。

2020年度の日本では、年間522万トンもの食品が廃棄されました。内訳は事業系のロスが275万トンで、家庭からのロスが247万トンです。

食品の製造過程で廃棄される材料を別の食品の製造に活用するなど、アップサイクル食品への注目が高まっています。例えば、アメリカの企業では、ビールを製造する過程で使用済みとなったビール粕を活用して、環境にやさしく栄養豊かな植物性ミルクを製造しています。日本でも、お菓子や惣菜、お酒などのアップサイクル食品が販売されています。

アップサイクルに取り組む際の課題

アップサイクルに取り組む際の課題を解説します。ビジネスとしてアップサイクル商品を取り扱うには、廃棄物の量を安定的に確保することと、アップサイクルを前提としたデザイン設計がポイントになります。

 

廃棄物を安定的に回収する必要がある

アップサイクル商品は廃棄物を原料として製造するため、廃棄物の安定的な確保が課題になります。しかし、廃棄物は計画的に排出されるものではなく、廃棄物の量が分かるタイミングは販売や生産が終わってからです。

廃棄物の量の予測や安定的な確保ができなければ、製造計画を立てにくくなります。出荷できる商品数や出荷日が確定できなくなると、ビジネスとしてはハードルが高いと考えられます。

 

循環型のデザインが必要になる

アップサイクル商品には、循環型のデザインを検討する必要があります。循環型のデザインとは、使用済みの商品を回収してアップサイクルすることを前提とした商品です。

循環型のデザインでは、修理しやすく汎用性の高い構造や、シンプルで耐久性のある素材の選定がポイントになります。また、循環型のデザインを施された商品が消費者によって廃棄されないように、回収や買い取りの仕組みづくりも求められます。

アップサイクルに取り組む方法

企業などがアップサイクルに熱心に取り組んでいますが、消費者にもアップサイクルへの関心が求められます。アップサイクルに取り組み、環境に配慮する社会をつくりましょう。ここからは、身の回りの不要品やゴミをアップサイクルさせる方法を紹介します。

 

不要になった服を別のアイテムに作り変える

サイズダウンしたり穴が開いたりして不要になった服は、バッグやポーチ、ブックカバーといった別のものに作り変えて再利用できます。縫わなくても、ハサミで切って結び合わせたり、布用ボンドで接着したりするとアップサイクルできますよ。

特に生地が丈夫なジーンズは、重いものの運搬や、アウトドアやレジャーに使うアイテムに向いています。愛着を持って履き続けたジーンズには独特の風合いがあり、デザイン面も楽しめるでしょう。

 

空き缶でインテリア小物をつくる

お菓子や飲み物、缶詰などの空き缶をペイントして、小物入れやペン立て、プランターなどに作り変える方法もあります。缶の表面が滑らかすぎると塗料をはじいてしまう場合があるので、軽くヤスリがけをしたり、専用の下地を塗ったりして下準備しましょう。

塗装した空き缶に、好きなステッカーやシールを貼ると手軽におしゃれな印象になります。また、汚す、もともとの塗装を削って剥がすなど、あえてダメージを与えるとヴィンテージ感を得られます。

 

食材の切れ端や余り物で料理を作る

普段なら捨ててしまう食材の切れ端や余りものも、お菓子やジャムなどの食品に生まれ変わります。例えば、野菜の切れ端を乾かすと干し野菜になります。天日干しで乾かさなくても、電子レンジやオーブンを使うと短時間で干し野菜になるので試してみましょう。

他にも、固くなったパンを切ってフードプロセッサーにかけると、パン粉ができます。ミカンやバナナの皮などを付けたまま作るジャムも、アップサイクルの1つといえます。

 

アップサイクル商品を取り入れる

服やジュエリーなどのファッションアイテムから、コスメ、家具、食品まで、さまざまなアップサイクル商品が登場しています。

アップサイクル商品を生活の一部に取り入れると、廃棄物の削減に貢献できます。加えて、アップサイクル商品ならではのユニークなデザインや、温もりある風合いなどにも触れられます。アップサイクル商品を取り入れて、楽しみながら環境問題に取り組んでみませんか。

アップサイクル商品を生活に取り入れよう!

アップサイクルはもとの製品に付加価値をつけて再利用するため、廃棄物を減らして環境への負担軽減につながります。環境問題に対する意識が高まるなか、数多くのアップサイクル商品が登場しているので、ぜひ着目してみましょう。

Annaut(アンノウト)は、ロスやムダを出さない洋服づくりをしているアップサイクルブランドです。アップサイクルによって生まれたジャケットやスエット、キャップなどのファッションアイテムを取り揃えているので、アップサイクル商品に興味のある方は、ぜひご利用ください。

Annaut(アンノウト) | 5PM Journal

 

【参考URL】

アップサイクルとは?リサイクルとの違いや企業の取り組み・日常アイデア例も紹介!

アップサイクルとは? リサイクルやリメイクとは違う、SDGsへの新たなアプローチ|SDGsにまつわる重要キーワード解説

SDGsってなんだろう?

一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について | 報道発表資料 | 環境省

海のプラスチックごみを減らし きれいな海と生き物を守る!~「プラスチック・スマート」キャンペーン~ | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

食品ロスとは:農林水産省

アップサイクル食品とは?~廃棄寸前食材の活用でサステナブルな社会の実現へ

アップサイクル食品で食品ロスを削減。日本でも購入できる食品10選 | 「森の中」森を知り、感じるためのメディア | 齋藤木材工業株式会社

フードロスに、新たな価値を|Upcycle by Oisix

廃棄物に新たな価値を。ゼロウェイストを加速させる「アップサイクル」を実践するには?

アップサイクルとは?リサイクルとの違い、メリット・デメリット、企業事例と製品紹介

循環型デザイン(CIRCULAR DESIGN)について 「WWDJAPAN」用語辞典

環境にいいデザインとは何か 循環型デザインを推進するティンバーランドに聞く(後編) - WWDJAPAN

家具に第二の人生を与える情報発信基地 日本初の「Circular Hub」がIKEA港北に登場!

アップサイクルとは?リサイクルとの違いや例・アイデアを紹介 | For your LIFE

空き缶は ペイント と ラベルシールでリメイクしよう!素敵な事例6選!

空き缶をかわいくペイント しよう! | 塗りかえ倶楽部

食材捨てずに「アップサイクル」 新発想で工夫楽しむ

シチリアのマンマのアップサイクル術。硬くなったパンを主役に。「インパナート」 | 料理通信

材料2つ!皮ごと使う「みかんジャム」のレシピを管理栄養士が伝授

「乾燥野菜」は良いことづくめ♪ 作り方と活用法10選

日本で購入できるアップサイクルブランド12選 ファッション・コスメ・フードも | ELEMINIST(エレミニスト)

アップサイクルブランド15選。日本で購入できる服やバッグなどをご紹介 | 「森の中」森を知り、感じるためのメディア | 齋藤木材工業株式会社

Annaut(アンノウト) | 5PM Journal