もくじ

1.ウイスキーとはそもそもどんなお酒?
2.ウイスキーの種類を決める3大要素
3.世界5大ウイスキー
4.自分に合ったウイスキーの選び方
5.自分好みのウイスキーを発見したい方へ

ウイスキーとはそもそもどんなお酒?

ウイスキーブームの影響で、バーや自宅でウイスキーを嗜む方が増えていますが、「ウイスキーってそもそもどんなお酒?」という疑問に答えられる方は意外にも少ないのではないでしょうか?

ウイスキーをもっと深く知りたい方のために、ここではウイスキーがどのような酒類に分類されるのか、ウイスキーが製品になるまでの工程など、基礎的な知識から掘り下げてお伝えします。

 

ウイスキーは「蒸留酒」に該当する

まず、酒類は「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3種類に分けられ、ウイスキーはその中の「蒸留酒」に分類されます。

「醸造酒」は、果実や穀物に含まれているデンプンや糖を、酵母菌を使って発酵させたアルコールで、代表的なものはビール・ワイン・日本酒の3つです。

「混成酒」は醸造酒や蒸留酒に果実や薬草・植物の種・果物の皮などのフレーバーや糖分を漬け込んだ酒類で、リキュール・梅酒・みりんなどを指します。もともとは薬酒として生み出されていますが、今ではケーキなどのお菓子作りや、紅茶の風味づけにも使われていて、多種多様なのが特徴です。

肝心なウイスキーの分類に該当するのが「蒸留酒」で、果物や穀物を発酵させて醸造酒を造ったあとに、蒸留して完成させます。

「蒸留酒」はウイスキーの他に、ブランデー・ジン・ウォッカ・ラム・テキーラ・焼酎・泡盛などが当てはまります。蒸留技術の発展により誕生した酒類のため、歴史的には浅い方です。
 

 

ブランデーとの違い

ウイスキーとブランデーは色や見た目がよく似ているため混同されがちですが、飲んでみると全く違う酒類であることがわかります。

そもそも使用している原料が両者は異なっており、ウイスキーの原料は大麦・ライ麦・トウモロコシなどの穀物から、ブランデーの原料は、ぶどう・さくらんぼ・りんごなどの果実から造られています。

簡単にお伝えすると、ビールを蒸留させたのがウイスキー、ワインを蒸留させたのがブランデーといったところですね。

 

ウイスキーができるまで

ぶどうのように果皮がある果物は放置しておくと酵母の働きで自然に発酵が進みますが、ウイスキーの原料である穀物は、放置しているだけでは発酵に適しません。そのため、ウイスキーは「糖化」という独自の工程が必要になります。

では肝心の造り方です。まず、原料となる大麦などを水に浸けて発芽させ、麦芽(モルト)を作ります。しかし、このままでは成長し続けてしまうため、途中で熱を加え焙燥し発芽を止めます。

次にウイスキー造りに重要な「糖化」です。麦芽を粉砕しお湯を注いで攪拌すると、麦芽に含まれる酵素の働きで穀物のデンプンが糖に変化します。できあがった麦汁を濾過し、酵母を追加して発酵。アルコールができたら、2~3回の蒸留をし、樽に入れて熟成させます。その後、調合し後熟を経て完成です。

ウイスキーの種類を決める3大要素

スコッチ・バーボン・シングルモルトなど、ウイスキーの種類をいくつか耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。これらはウイスキーの種類ではありますが、実は分類がバラバラ。

というのも、ウイスキーの種類は、「原材料の違い」といった単純なものではなく、「原材料」「ブレンド」「産地」の掛け合わせで決まります。

ここでは、ウイスキーの種類を決める「原材料」「ブレンド」「産地」の3大要素について紹介します。知っておくとウイスキーを選ぶ際に役立つので必見です。

 

味わいを決める「原材料」
ウイスキーの味わいを決めるのは「原材料」。主に大麦・小麦・ライ麦・トウモロコシを使用します。原材料によるウイスキーの種類は3つあります。

・モルトウイスキー
・グレーンウイスキー
・ブレンデッドウイスキー

まず、モルトウイスキーは大麦麦芽(モルト)のみを使用し、単式蒸留器で蒸留させたもので、個性的な味わいが特徴。クセが強いものも多いですが、ウイスキー通にはとても人気です。

次に、グレーンウイスキー。大麦麦芽(モルト)の他にトウモロコシや小麦などを加え、連続式蒸留機で蒸留させたウイスキーで、原料の風味があまり残らないため、すっきりとした後味が楽しめ、料理との相性も良いです。

複数の蒸留所のモルトウイスキーをブレンドしてできるのがブレンデッドウイスキー。モルト原酒とグレーン原酒の2つを混ぜたウイスキーで、現在主流となっている種類です。
 

飲みやすさに違いが出る「ブレンド」

飲みやすさに違いが出るのが「ブレンド」です。単一の蒸留所で造られたモルトウイスキーのみを瓶詰めしたものを「シングルモルト」と呼び、山崎や白州・ラフロイグなどが挙げられます。この「シングルモルト」がウイスキーブームの火付け役となりました。

しかし、現在の主流はブレンデッドウイスキーです。ブレンデッドウイスキーは複数の蒸留所で作られたモルト原酒とグレーン原酒を複数ブレンドし瓶詰めしたものを指しています。

ブレンドの方法によってさらにウイスキーの種類は分けられます。

・シングルカスク…1つの樽のウイスキーのみで造られる
・シングルグレーン…1つの蒸留所だけの原酒で造られる
・ブレンデッドグレーン…モルト原酒とグレーン原酒をブレンドしている
・ブレンデッドモルド(ヴァンテッドモルト)ウイスキー…複数の蒸留所のモルトウイスキーをブレンドしたもの

 

特有の味わいを構成する「産地」

ウイスキーは世界中で造られていますが、気候や土壌、産地特有の文化がウイスキーの味わいに影響を与えているのをご存じでしょうか。

ウイスキーの産地として有名なのは、スコットランド・アイルランド・アメリカ・カナダ・日本の5カ国で、世界5大ウイスキーとも呼ばれています。

スコットランド・アイルランド・日本は大麦麦芽ベース、アメリカ・カナダはトウモロコシやライ麦ベースで造られています。

産地によって強い香りを持つものから、すっきりと軽快な味わいを楽しめるものまであるため、飲み比べてみるのもおすすめです。

世界5大ウイスキー

スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本は世界的なウイスキー産地として有名で、世界5大ウイスキーと呼ばれています。各国で呼び名が異なり、産地ごとに魅力や特徴があるため、深く知るほど楽しめます。ここからは世界5大ウイスキーの違いやそれぞれの魅力を深掘りしていきましょう。

 

スコッチウイスキー
スコッチウイスキーはイギリス北部のスコットランド地方で蒸留、熟成されたウイスキーを指し、ウイスキーの代名詞として世界的に有名な産地です。世界のウイスキーの約6割を占めています。

スコッチウイスキーを名乗るためには、イギリスの厳格な法律による規定をクリアしなければなりません。

【スコッチウイスキーの定義】
・原材料は水・発芽させた大麦などの穀物・酵母
・スコットランドの蒸留所で糖化と発酵・蒸留をする
・アルコール度数94.8%未満
・容量700リットル以下のオーク樽で熟成
・スコットランド国内の物品税倉庫で3年以上の期間熟成させる
・水・無味カラメル着色料以外の添加物が入っていない
・最低でも40%の分量のアルコール強度を有する

伝統の製法と品質を維持するため、スコッチウイスキーの法定義は他の生産国と比較してもかなり厳格です。主な銘柄には、マッカラン・グレンフィディック・バランタインなどが挙げられます。

 

スコッチウイスキーの種類

スコッチウイスキーは、以下の5つに分けられます。
・シングルモルトウイスキー
・シングルグレーンウイスキー
・ヴァッテッドモルトウイスキー
・ヴァッテッドグレーンウイスキー
・ブレンデッドウイスキー

特にブレンデッドのスコッチウイスキーは、乾燥で使われるピート(泥炭)によるスモーキーな香りが特徴で、薬品や燻製のようなクセの強さが世界中のウイスキーマニアを魅了しています。

 

 

アイリッシュウイスキー

アイリッシュウイスキーはアイルランド島の伝統的な製法で造られるウイスキーで世界一古いウイスキーともいわれています。

アイリッシュウイスキーの定義は以下のように規定されています。

【アイリッシュウイスキーの定義】
・原料は穀物
・アイルランド国内または北アイルランドの倉庫で3年以上熟成させる
・木製樽に詰める
・麦芽に含まれる酵素で糖化し、酵母の働きで発酵させる
・アルコール度数94.8%未満

アイリッシュウイスキーの主な銘柄はブッシュミルズ、ジェムソン、カネマラ、パラモアデューなどが挙げられます。口当たりが良く滑らかな味わいのため、とても飲みやすく、コーラやソーダで割るのもおすすめです。

 

アイリッシュウイスキーの種類

アイリッシュウイスキーの種類は以下4つに分けられます。
・ピュアポットスチルウイスキー
・モルトウイスキー
・グレーンウイスキー
・ブレンデッドウイスキー

アイリッシュウイスキーといえば、「ピュアポットスチルウイスキー」が有名です。大麦麦芽や未発芽の大麦などを原料に使い、銅製のポットスチル(単式蒸留機)で3回蒸留するアイリッシュウイスキーの伝統的な製法です。

蒸留回数が多いために滑らかな味わいに仕上がり、ウイスキー初心者でも飲みやすいのが特徴の1つ。ピートが焚かれていないため、穀物がもつ芳醇な香りが存分に引き出されています。

アイルランド産の「ブレンデッドウイスキー」はピュアポットスチルウイスキーに、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして造られており、ほんのり甘く、まろやかな味わいです。

 

 

アメリカンウイスキー

アメリカンウイスキーはスコットランドやアイルランドから、アメリカに移住した人々が現地でウイスキーを製造し独自の進化を遂げたものです。

アメリカンウイスキーの定義は以下のように規定されています。

【アメリカンウイスキーの定義】
・穀物を原料としている
・オーク樽で熟成されている
・40%以上のアルコール度数である

他の国の定義と比べると緩めです。とはいえ、アメリカの代表的なウイスキーである「バーボンウイスキー」は連邦アルコール法に沿って、穀物の種類や配合の割合・樽の種類・アルコール度数などが細かく決められています。

アメリカンウイスキーの主な銘柄は、ジャックダニエル、ジムビーム、フォアローゼズなどが挙げられます。


アメリカンウイスキーの種類

アメリカンウイスキーは原材料や製造方法によって種類が7つに分かれています。
・バーボンウイスキー
・テネシーウイスキー
・モルトウイスキー
・ライウイスキー
・ホイートウイスキー
・コーンウイスキー
・ブレンデッドウイスキー

代表的なアメリカンウイスキーである「バーボンウイスキー」は、トウモロコシが51%以上で、内側を焦がした樽を使用して熟成しています。

中でも、テネシー州で製造され、独自の製法を用いたものを「テネシーウイスキー」と呼んでおり、飲みやすさ重視の方にはおすすめです。

モルトウイスキーは大麦麦芽、ライウイスキーはライ麦、ホイートウイスキーは小麦が51%以上を占め、内側を焦がした新しい樽を使用して造られます。

コーンウイスキーはトウモロコシが80%以上を占め、古い樽、または内側を焦がしていない樽で熟成しなければなりません。

アメリカの「ブレンデッドウイスキー」はコーン・モルト・ライ・ホイートいずれかのウイスキーの原種20%に、別のウイスキーかスピリッツをブレンドしたものを指します。

アメリカンウイスキーは、内側を焦がしたオークの新樽で熟成させたものが多いですが、コーンウイスキーのように例外もあります。

 

カナディアンウイスキー

元はアメリカから移住してきたイギリス系移民によって造られたウイスキーで、トウモロコシを主体にしたウイスキーに、ライ麦などを使用したフレーバリングウイスキーをブレンドしたものです。

5大産地の中でも1番軽くてクセがないため、初心者はもちろん、カクテルやハイボールベースなど幅広く使い道があります。

カナディアンウイスキーの定義は以下の通りです。

【カナディアンウイスキーの定義】
・穀物のみを原料とする
・麦芽などで糖化、酵母などで発酵しカナダ国内で蒸留したもの
・容量700リットル以下の樽
・カナダ国内で最低3年以上熟成する
・香味の添加が認められている(ボトル内9.09%)

この基準をクリアして初めてカナディアンウイスキーを名乗れます。主な銘柄は、カナディアンクラブ、クラウンローヤル、アルバータプレミアムなどです。

カナディアンウイスキーの種類

カナディアンウイスキーの種類は3つに分かれています。
・ベースウイスキー
・フレーバリングウイスキー
・ブレンデッドウイスキー

トウモロコシが主原料で連続式蒸留で造られるのがベースウイスキーです。スコッチのグレーンウイスキーに似た風味が特徴。

フレーバリングウイスキーはライ麦や大麦麦芽などを原料としており、スパイシーでコクがある風味が特徴です。香り付けのために用いられることから、フレーバリングウイスキーと呼ばれます。
ブレンデッドウイスキーは、ベースウイスキーとフレーバリングウイスキー・スピリッツ・ワインなどをブレンドして造られたもので市場に流通しているカナディアンの大半はこれに該当します。

 

ジャパニーズウイスキー

ジャパニーズウイスキーはスコッチウイスキーを参考に日本人好みに造られたウイスキーで、山崎、知多、白州、響などが該当します。日本のウイスキーブームに伴い、一時は入手困難なこともありました。

スコッチウイスキー独特のスモーキーさが和らぎ、繊細な味わいが楽しめます。また、白州・山崎・余市 など、ウイスキーでは珍しいシングルモルトが多いことも特徴の1つです。

では、ジャパニーズウイスキーの定義を見ていきましょう。

【ジャパニーズウイスキーの定義】
・原材料は麦芽を含む穀物・国産の水
・糖化・発酵・蒸留は国内の蒸留所で行うこと
・アルコール度数は95%未満であること
・内容量700リットル以下の木樽に詰め、3年以上貯蔵すること
・色調の微調整のためのカラメルは使用可

2021年2月に民間の自主基準として「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を制定しました。

自分に合ったウイスキーの選び方

数あるウイスキーの中から自分好みのものを見つけるには、先述した産地ごとの特徴を参考にしてみてください。例えば、スモーキーでクセのある味わいが好みならブレンデッドのスコッチウイスキーなどがおすすめです。これからウイスキーを飲み比べてみる場合には、以下のポイントも参考にしてみてください。

 

熟成年数で選ぶ

ウイスキーのボトルやバーのメニュー表には8年・10年・12年などと、熟成年数が記載されているのはご存じの方も多いはず。熟成年数が長いと、まろやかな味わいとなり、フルーティーさや華やかさ、「樽熟香」と呼ばれる甘く香ばしい風味が増します。

一般的に、熟成年数が短いウイスキーは香味が刺激的で味わいが粗いこともありますが、かといって塾年数が長いから良いというわけでもありません。

本来持っている香味の特徴や個性が最も良く現れるタイミングがあるため、ベストなタイミングまで熟成させたウイスキーがウイスキー通を唸らせる調和の取れた味なのです。まずは同じ銘柄を熟成年数の違いで飲み比べてみるのがおすすめです。

 

熟成樽による風味の違いで選ぶ

熟成樽には、アメリカンホワイトオーク樽・マデイラワイン樽・ミズナラ樽・バーボン樽など多くの熟成樽が存在しており、ウイスキーの味わいを決めるうえで非常に重要です。

バーボン樽は燻製の香り、シェリー樽は華やかな香り、ポート樽は甘くコクのある味わいなど、どの樽で熟成するかによってウイスキーの風味が変わるところが面白いポイント。

ウイスキーは原酒を数種類ブレンドしたものがほとんどですが、どの要素が強調されているかによって造り手の想いやこだわりが伝わってくるため、熟成樽にも注目してみましょう。

 

ピートで選ぶ

大麦から麦芽を生成する際に、大麦を水につける工程が発生しますが、この時に発芽が進みすぎないように熱を加えて乾燥させています。

スコットランドなどでは「ピート」と呼ばれる泥炭を燃料として使っており、ピートの焼けた匂いが麦芽に移り、ウイスキーに独特の燻製されたような香りがつきます。

このフレーバーをつけるかどうかでウイスキーの味わいは大きく変わるため、ピートかノンピートかもウイスキーを選ぶ上では重要な指標です。

ピート香を楽しめるウイスキーとして代表的な銘柄は「ラフロイグ」「アードベッグ」「ラガヴーリン」「タリスカー」などです。ピート香は独特なため、まずは自分好みかどうかを実際に試してみると良いですよ。

自分好みのウイスキーを発見したい方へ

原材料・ブレンド・産地・熟成年数など、数あるウイスキーの中から自分好みのものを見つけるのは至難の業ですよね。そんな方におすすめなのが「YUI Whisky(ユイウイスキー)」です。

全国の酒屋・バーが選定したウイスキーを毎月5種類、グラス1杯分をお届けするウイスキーのサブスクで、同梱のカードには、どのバーに行けば届いたウイスキーが置いてあるかも書いてあるため、自分好みのウイスキーにまた出会えるワクワク感もあります。

興味がある方は一度「YUI Whisky(ユイウイスキー)」を覗いてみてはいかがでしょうか。

 

 

【参考URL】

ウイスキーの種類と選び方|おすすめ銘柄と飲み方も解説

世界5大ウイスキーのおすすめ銘柄22種類一覧|選び方や飲み方付

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    2023.04.17