わりとなんでも三日坊主になりがちな私が、2021年胸を張って実に楽しく続けられたことがひとつある。週イチ火曜日に必ず開催される、ご近所ご飯会だ。

 

我が家は二人暮らし。共に経営者でありがたいことに仕事が忙しく、起業する前は大好きだった自炊も最近はご無沙汰で、ゆっくり手づくりのごはんを食べようという時間をなかなか持てずにいた。外食は身体に悪いし、宅配はゴミが出る。そんなさなか、なんと我が家から徒歩数分のところに、同じく二人暮らしの友人が偶然引っ越してきたのだ。

 

「このメンツ、超楽しかったから定期開催にしようよ!」なんて話していても、なかなか集まれないのが大人の世界である。そう考えると、積極的に誰かが幹事をしたりスケジュールを合わせたりしなくても毎日会うことができる友だちがいた学生時代というのは、人生の中でもとても貴重な瞬間なのかもしれないと、今更になって思う。しかし今、私は待ち合わせをしなくても毎週会える友だちを再び手に入れたのだ。そしてその食卓こそが私なりのサステナビリティである。
 

あれは2020年の終わり、私たち4人は新型コロナウイルスの猛威を受けて出かけることもなくなり、帰省もせず、慎重に感染対策をして年末に我が家でご飯を食べることになった。そこから「じゃあ来週も」なんて言って別れた次の週、「ちょっとカレーが余ってるのですが、ほんとに今日も来てくれる?」と誘うと乗っかってきてくれて、それから欠かさず1年間、週イチで私たちは一緒にご飯を食べ続けたのだった。

 

かけるお金はひとり数百円。きちんと料理をしようと思うといろんな食材が必要になって、外食よりもかえって高くついてしまったり、特にパクチーやバジルなんかは少し欲しいだけなのに余らせてしまいがちだったり、そういった課題を解決してくれたのがこのご近所ご飯会だった。週イチのご飯だけでなく、ちょっとした残り物やおすそ分けをし合って、私たちは食を楽しんでいる。調味料や飲み物も家から持ち寄るし、新しく買わなければいけないものは最小限におさえられている。そういえば最近は、冷蔵庫の奥でガチガチに干からびてしまった食材を見ていない。服や化粧品、家電などいらなくなったものもシェアしている。うちに新しい戸棚がやってきたときには、友人が工具を持ってきて作るのを手伝ってくれた。

 

4人集まると、素朴ながらも工夫して楽しいごはん作りができる。友だちがやってくるということもあって仕事をダラダラと長引かせることもなく、掃除もマメにするようにしている。部屋がひどく汚れずに1年を過ごすことができたのは、この会のおかげなのかもしれない。また4人とも料理は得意なので、それぞれの実家の味や地元の名物を披露し合うことでさまざまな文化にも触れ、お正月にはお雑煮を作り合ったりもした。ふるさと納税で頼んだぶりをまるまる平らげたり、皮から餃子を作ったり、無限にたこやきを焼いたり、巨大なペヤングに挑戦したり、純粋に自分たちだけのために準備する料理は最高だと思わずにはいられない。
 

かざらずに食品や食事、日用品をシェアできる人がいるというこのエコな構造は、きっと古くからあったものだ。ラッキーなことに私は縁あって、ご近所付き合いが少なくなった現代の都心でもその構造に触れることができている。何でもひとりで処理しようとしすぎなくても、何人か寄れば、需要や供給がうまれる。そういうなかで絆を深め合うという体験に感謝して、これからも過ごしていきたい。

プロフィール

合田 文

マンガでわかるLGBTQ+メディア「パレットーク」編集長。新卒でIT企業に入社しゲーム事業部に所属。その後HR業界を経て「人の性のあり方・多様性への考え方を変える」事業部を設立。事業責任者を務めた後起業し、株式会社TIEWA代表取締役CEOに。