自分に合った香り」を見つけることの難しさ
―香りをパーソナライズしていくlove passport milaとは、どういったサービスなのでしょうか。
西田:私たちは、ヘアケアブランドMEDULLA、スキンケアブランドHOTARU PERSONALIZEDをはじめ、お客さまに寄り添い続けるパーソナライズサービスを展開してきました。その中で、「自分に合った香り」をうまく見つけられない人が多いと知り、フレグランスのパーソナライズを始めよう、と立ち上げたのが、love passport milaです。
―世の中には香水がたくさんあるのに、自分に合ったものを見つけられないというのは不思議ですね。
西田:むしろ、たくさんあるからこそ、だと思います。一般的な香水売り場の商品数は200といわれるほど選択肢が多く、選び出すことが難しいんです。
嗅いで選ぶことの難しさは他にもあって、シングルノート*でないフレグランスは時間によって香り立ちが変わります。つまり「ショップでつけた瞬間の香り」だけではその香水を100%理解することが難しいんです。
*シングルノート:香料を1種類しか使用しておらず、香りに変化のないもの
―そこで、自ら選ばずとも最適なものがわかっていく「パーソナライズ」にたどり着くわけですね。でも、香りをパーソナライズしていくというイメージが湧かないのですが、どのような流れで自分に合う香りがわかっていくのでしょうか。
西田:まず「milaからのカウンセリング」という形で、質問に答えていただきます。その診断結果に基づいて、milaからオードトワレ・ヘア&ボディオイルを提案いたします。
その後、届いた製品を使われたお客さまからフィードバックをいただきながら翌月にお届けするものを調整していく形でパーソナライズをしていきます。満足度はもちろんですが、他の香りを試したい、ガラッと雰囲気を変えたい、といったご要望をいただいたときにも、milaは柔軟にサポートいたします。
―変えたい、という声もあるんですか。初めに好みを導き出したらそれで終わり、ではないんですね。
西田:香りというのは、時間や季節によって好みが変化することもある繊細なものです。例えば、春から夏にかけては爽やかでフレッシュな香りが好きだけど、秋になったら金木犀の香りが恋しくなったり、冬の夜には少し甘めの香りが欲しくなったり。
だからこそ、フレグランスには私たちが培ってきたお客さまとのコミュニケーション能力・パーソナライズ技術をフル活用して「長く寄り添い続ける」ことが必要だと思っています。何より、私たち自身、せっかくlove passport milaの香りをきっかけにいい人生を歩み始めた方がいれば、その方を支え続けたいですから。
西田:実際にお客さまの反応を見てみると、正直びっくりするほど満足度の高いフィードバックばかりです。でも、ある時点で一度香りに満足していただけたからと言って、その香りが他のタイミングでもベストとは限りません。だから私たちは、好みや気分の変化にも対応し続けられるように寄り添い続けたいんです。
―とはいえ、この香りは自分に合っている/いないってわかりづらいようにも感じるのですが……love passport milaを使った方は、「あ、これって自分に合っているな!」とすぐにピンとくるのでしょうか?
西田:love passport milaは、「周囲の人から”いい香りだね”と褒めてもらえるように」という裏コンセプトのもと、誰もが好む系統の香りにしつつ、少しエッジを効かせています。だから、褒められることと個性がきちんと光ることが両立され、「あ、このフレグランスは自分に合っているんだ!」と実感しやすいと思います。
―香りについては、ディテールの部分までかなりこだわられたんですね。
西田:はい。特に香料にはこだわりましたね。「なんとなく」フレグランスを使っている方が多い中で、love passport milaを使いたい人とは「なんとなく」の一歩先に進みたいと思い始めた方です。ありきたりな香りではその方々の期待に応えられません。なので、世界的に有名なフランスのグラースで生産した香料と、オイルには国産の香料を採用しています。
パフューマーさんとやり取りを重ねながら、「自分に合っているな」と実感を得られる、個性のあるフレグランスにいたしました。それが先ほどの「エッジ」に繋がります。
旅をガイドしてくれるパスポート
―「香り」という話なら香水だけでもいいように思えるのですが、オイルがセットになっているのはなぜなのでしょう?
西田:1日を通してフレグランスを楽しんでいただきたいからです。例えば、外出時やスイッチを入れたい日中といった「オン」の時には周囲に香るオードトワレを。家に帰ったタイミングや自身を癒したいリラックスタイムといった「オフ」の時には、髪や爪などにも使えるヘア&ボディオイルで。香りのレイヤードも楽しめますし、過ごす時間やシーンによって使い方は自由です。すべての時間が好きな香りに包まれていたら、こんなに幸せなことってないと思うんです。
―なるほど。でも、「使い方が自由」となると、私のような香水初心者はむしろ使い時に困ってしまうかもしれません……
西田:そういった方々のために、私たちは「フレグランスガイドブック」というハウツーブックをご用意しています。基本的なフレグランスの使用方法はもちろん、香りをリタッチするタイミングや香りの変化、シーン別に適した活用方法など、全52ページに渡って楽しみ方を提案するものです。
フレグランスは「なんとなく手首につける」みたいな人が多く、様々なシーンでいくつもの楽しみ方があることはあまり知られていないんですよね。
西田:「なんとなく」に従った結果フレグランスを楽しめなかったら、とても悲しいじゃないですか。だから、敢えて細かくガイドするハウツーブックをお届けすれば、使いたいタイミングが生まれ、実際に使ってみることで自分に合った使い方を見つけられるのではないかと考えました。
―ブランド名にもpassportとありますし、「パスポート」にはこだわられたのでしょうか。
西田:love passport milaは、ユーザーにとって「香りを通じて自分を好きになる”旅”に連れて行ってくれる存在」を目指しているんです。milaとのカウンセリングで自身の好みが明らかになるという体験、診断結果を踏まえた製品が届くまでのmilaからのメッセージ、届いてから初めて見る同梱のパスポート型フレグランスガイドブック、航空券のようなデザインのフレグランスシート……すべてのタッチポイントで、ユーザーに「旅へ行くわくわく感」を味わっていただきたくて。
―旅……自分探しの旅、のようなニュアンスでしょうか?
西田:そのニュアンスも含め、広い意味での「旅」に連れて行ってくれる存在が、milaなんです。私たちが「旅」と表現しているのは心情の変化そのものです。
love passport milaによって自分の知らなかった好みの香りと出会うことは、仰るような「新しい自分を探す旅」とも捉えられます。また、実際に好きな香りをまとって外に出ることは、文字通りの旅と言えるでしょう。「ガラッと自分の香りのイメージを変えたい!こんな香りをまといたい!」なんて冒険も、1つの旅です。
これらの旅すべてが、「どんな状態の自分も愛せる私」につながるんじゃないかな、と考えています。
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