もくじ
想いの通じ合ったお店と共に、「バー」のハードルを下げる
―YUI Whiskyとは、どういったサービスなのでしょうか。
大野:YUI Whiskyは、全国の酒屋・バーが選定したウイスキーを毎月5種類、それぞれ30ml(グラス一杯ぶん)ずつお届けするサブスクリプションサービスです。
サービスとしては「バーの疑似体験」を目指していて、例えばウイスキーと一緒にお届けするポストカードでは、プロならではの知識やお酒への哲学、オススメの飲み方などをご紹介しています。
―お客さまにはこう楽しんで欲しい、などはありますか?
大野:リラックスしていただける環境であれば、形にこだわらなくていいと思います。好きな空間で、好きな人と飲んで欲しいです。家族、恋人、友達と自宅で楽しんでもいいですし、思い出の場所で大切な人と飲むのも幸せだと思います。
あとは、キャンプに持っていくのもオススメです。キャンプって、大瓶を持っていくの大変ですよね。でもYUI Whiskyのボトルはプラスチックなので割れることもありませんし、1本30mlなので飲みすぎることもありません。ボトルが香水のようで可愛いので、女子会に持って行って「これ何?香水?」「いや、実はウイスキーなんだよ」と会話のタネにしてくださったユーザーの方もいらっしゃいます。
―そもそも「バーの疑似体験」を目指すのは、どういった理由からなのでしょうか。
大野:「バーに行けるコンテンツ」が世の中にほとんどないから、ですかね。
例えば、お酒に興味を持った人が、蒸留所の講師がお酒の美味しい飲み方を教えてくれるオンラインセミナーに参加したとするじゃないですか。これって、もし「このお酒が美味しいんだ」とわかっても、どこのお店で飲めるかわからないんですよ。
だから、美味しいものが勝手に届いて、同梱のカードに書いてある飲み方をすればハズレなくて、しかもオススメしてくれたバーテンダーさんのお店に行けばまた飲める、という体験を楽しんでいただきたいんです。これでウイスキーと人を結び付けられたらな、と。
―徹底して、バーへ行くハードルを下げたい、という想いがあるんですね。
大野:正直、バーって少し敷居が高い、と感じる方は多いと思います。でも、好きな空間でリラックスしながら気心の知れた人とウイスキーを楽しむうちに「これ美味しいね、この店にあるみたいだし今度行ってみる?」なんてバーへの第一歩を踏み出せるんじゃないかなと思っています。
大野:とはいえ、バーそのものの魅力を失っては本末転倒だとも思っています。古き良きオーセンティックなスタイルのバーにはドレスコードがある所も珍しくありませんし、職人気質のバーテンダーさんもいらっしゃいます。
もちろん、そういったバーは信念と気品があり素敵でとても尊重をしています。YUI Whiskyがしたいのはそういったバーを変にフランクなイメージに変えることではなく、「もっと気軽に、誰にでもバーを楽しんで欲しい」という信念で私たちと通じ合っているバーを多くの人と結ぶことです。
店内が明るくて、バーに行ったことのない方でも休日にランチとカクテルを楽しめるような、誰にでもオープンなお店は紹介したくなりますね。
バーは、幸せに結び付く場所
―では、なぜ人とウイスキーやバーを結びたいのでしょうか?
大野:「幸せの可能性」を提供するためです。コロナも手伝ってか、お酒や車などいわゆる「昭和に流行った物」離れが若者の間で進んでいます。でも、お酒も車も、別に「悪」ではないと思うんです。ちゃんとした場所で、節度を持って楽しめば、誰も不幸になりません。
大野:「悪いものだ」という思い込みで幸せを逃してしまう人がいるのが、どうももったいなく思えて。お酒から離れてしまっている人がYUI Whiskyを通じてバーへ行き、それが新しい趣味になってくれたら、それが僕たちの幸せです。
―バーへ行くことで、人の生活はどのように変わるのでしょうか。
大野:「飲みの場」って、すごく不思議じゃないですか。家や職場では話さない悩みや相談をすることに違和感を抱かれづらいというか……リラックスして心がオープンになるから、話しづらい相談も自然とできる空間になるんですよね。
しかもバーだと隣の人と話すことがおかしくありませんから、その空間の輪が広がって、バーテンダーの方や何度か通う中で顔見知りになった常連さんともそんな話ができてしまいます。すると、その相談が仕事につながるなんてケースもあって。
大野:一人でご飯を食べて寝る生活も、もちろん幸せです。でも、嫌なことがあったとき、その気持ちの処理って一人だと限界があると思っていて。そういうときに、自然な形で他の人を巻き込んで心をさらけ出せば、きっと気持ちが楽になります。人に相談してみると自分では思いつけないアイデアをもらえた、という経験は誰もが一度はあると思います。
―バーへ行くことが、生きていくうえでの幸せにつながるんですね。
大野:バーへ行って、美味しいウイスキーを片手にコミュニケーションをとることはライフスタイルの一部、ひいては文化になれるポテンシャルがあると思っています。だからこそYUI Whiskyは「ウイスキーと人を結び文化をつくる」というメッセージを掲げています。
YUI Whiskyで知ったバーへ何度か行くうちに常連になり、いつしか休みの日や仕事帰りにふらっと気軽に足を運ぶようになって、そこで生まれるコミュニケーションで生活に潤いが生まれる……だからYUI Whiskyは”第二の故郷”になれるカジュアルなお店を選定して、そこが選んだウイスキーをお届けする、この一連の体験で皆さんがバーへの一歩を踏み出すのを支えたいんです。
―昨年末にブランドサイトをリニューアルしたことも、「バーへの第一歩」と関係があるのでしょうか?
大野:そうですね。身近な人に「YUI Whiskyのイメージってどう?」とラフに質問すると、バーに行き慣れた人・ウイスキーに慣れ親しんだ人ほど、「もっと暗い落ち着いたデザインの方がいいんじゃない?」と答えるんです。だから、敢えて明るくしました(笑) 行き慣れた人ではなく、バーへの一歩を踏み出せていない人がウイスキーに出会うための、間口の広いサービスでありたいと願っています。
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