
長く大事にものを使う。人に寄り添うレザーブランドcrafstoの接客を体験
Fashion
「ものを長く使う」価値観を広げる、レザーブランドcrafsto。本企画では東京・蔵前の工房を併設した店舗に行ってみました。店舗ならではの接客や特典も、接客を通して体験。リアルな様子をお届けします。ぜひ店舗に行ってみたい方は参考にしてみてください。
crafsto(クラフスト)
2020年7月にスタートしたレザーブランド。さまざまなメゾンブランドの革製品を修理してきた職人が手がけるアイテムは、丈夫で修理がしやすく、使うほどに馴染んでいくことが特徴。購入したアイテムを永年で無償修理できるユニークなサービスも提供している。8月には工房を併設した店舗を東京・蔵前にオープンした。
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Takuya/5PM編集部
一言:20代男性。
レザー商品を好きなのですが、ついついケアをさぼりがち。長く大事に使ってみたいです。
■もくじ
長く大事に。レザーブランドcrafstoの目指すものとは
Takuya:今回の企画は、「長く使い続けられるものってどんなもの?自分のパートナーとなるようなレザー製品を探してみよう」です。crafstoの店舗にて、実際に接客を体験してみたいと思います。
お店に入ると目の前に大きなレザーが現れるのがまず驚きです。
crafsto 久保:こちらはブライドルレザーです。仕入れてきた状態の一枚革なので迫力ありますよね。ここから切り出して加工します。元々ブライドルレザーはすごく厚みのあるものなので、商品ごとに革の厚みを変えているんですよ。
来店予約してくださった方にはブライドルレザーの元の厚さで作ったスマホスタンドをプレゼントしています。こちらは店舗限定。スマートフォンはもちろん、カードを立てることにも使えます。
Takuya:店舗は商品を作る工房にもなっているんですね。職人の皆さんが作業しているところを見られるのは少しテンションが上がります。
ブランドについてもお話を伺わせてください。crafstoはなにを大事に商品を作っているんですか?
crafsto 久保:大事に使えて、人に寄り添い続ける商品を作るということを一番大事にしています。そのためにいい素材を使う。壊れにくいように作る。壊れたときにサポートできる体制にする。ぼくらの価値観ですね。
Takuya:いまの商品ラインナップでは財布がメインでしょうか?
crafsto 久保:昨年ブランドが立ち上がり、いまはお財布がメインです。他にもPCケースの新作を出したり、今後はバッグの展開も考えています。
Takuya:主にブライドルレザーですか?
crafsto 久保:革でいうとブライドルレザー、シェルコードバンがメインで、イタリアのネブラスカという革も使っています。
どれも伝統的な革で品質も良く、使い続けると味が出る革を選んでいます。長く使うと、ツヤが出たり、色がきれいになったりと、経年変化を楽しめると思いますよ。
crafstoの接客を体験。革の違いも丁寧に。
Takuya:ここから、実際に接客を受けてみたいと思います。お財布を探しているんですが、人気の商品はどれでしょうか。
crafsto 久保:小さめのお財布はいかがでしょうか?例えばL字ファスナーの財布をおすすめします。まずポイントはコンパクトで見た目が小さいです。またキャッシュレスと言っても小銭を使う場面ってありますよね。カードが4枚入り、お札も入れられることに加えて、小銭入れも付いています。
最近はキャッシュレスというのもあり、長財布から乗り換える人が多いですよ。
Takuya: L字であることの違いはありますか?
crafsto 久保:しっかり開くので、中が見えやすく、小銭入れにも入れやすいです。ぼくは小銭入れの中に鍵を入れたりしています。
シェルコードバンという革ですが、こちらは馬のお尻の革です。アメリカの会社が作り続けているんですが、100年くらい同じ製法。手染めで、色味も自然な光沢感がありつつ、透明感もあって。ビニールっぽくない。使っているとぷっくりふくらみが出てくるのもまたいいです。
Takuya:何色が人気ですか?
crafsto 久保:黒が一番人気です。高級感があり、ツヤ感もあります。
L字財布はブライドルレザーでも作っています。ブライドルレザーは初めはブルームと言って白い蝋がついています。これはイギリスの革で、イギリスは湿気が高いので耐水性をつけるために伝統的に革に蝋をつけるためです。こちらも使っていくと、蝋が徐々に落ちてきて光沢の強い革に変わっていきますよ。
Takuya:シェルコードバンと比べるとよりつやつやするのでしょうか?
crafsto 久保:ちょっと違う感じですね。シェルコードバンのほうが革の繊維が細く、きめ細かいのできれいに輝きが出ると思います。
Takuya:革はどう選べばいいですか?
crafsto 久保:まず、革の硬さが違います。シェルコードバンのほうが柔らかく、ブライドルレザーのほうが硬いです。スタイル的に、カチッとしているのが好きな方ならブライドル。柔らかめの感触が好きな方ならシェルコードバンをおすすめしています。
どちらも使い込むと光沢が出てくるので、経年変化を楽しんでほしいですね。
Takuya:このツヤこそがまさに自分だけの道具になっていく楽しみですよね。シェルコードバンとブライドル、ネブラスカと値段が違うのは革の希少性ですか?
crafsto 久保:革の値段の差が大きいですね。特にシェルコードバンは貴重な革で、生産量も限られているので少し高くなっています。
Takuya:長く使いたいですね。
crafsto 久保:使い方はもちろんありますが、ちゃんと使ってもらえるとその分長く使えるかと。ほつれなど部分的なものに関しては、無償で対応しています。工房型店舗なので、その場でぱっと直せることも。ぜひご気軽に持ってきていただきたいです。
長く使うためには?職人から直接アドバイスがもらえる贅沢空間
Takuya:crafstoで商品を作っている職人の太田さんにお伺いしたいのですが、長く使うためにはどういったことに気を付ければよいでしょうか?
crafsto 太田:とても細かい点なのですが、ファスナーを引っ張って開けるときに外側に引っ張ると根本に負担がかかり、革が破けやすくなります。なのでファスナーを開けるときに根本をしっかり持つようにすると持ちがよくなります。
また、開いて使うとき。あまり開きすぎるとマチに負担がかかります。作る段階でマチに負担がかかりすぎないように補強をしていますが、開きすぎには注意してほしいです。
Takuya:負担がかかるところに初めから補強しているんですね。
crafsto 太田:前職でたくさんのブランドの製品を修理してきた経験が生きています。自分で使い、負担がかかりやすい箇所は補強をしているのがcrafstoのものづくりの特徴です。
Takuya:普通のお店だと店員さんも忙しそうで聞きづらい印象だったので、職人の方にこんなに教えてもらえるのは贅沢な体験ですね。
よくお尻に入れてしまうのですが、そういうのはやっぱり良くないですか?
crafsto 久保:座った際に財布が折れちゃうので故障の原因になりやすいです。ですが、お尻のポケットに入れちゃダメというよりは、座るときに気を付けるようにすることが大事です。特に長財布は折れやすいので要注意。
自分だけのこだわりをじっくり叶えるパーソナライズサービスとは
Takuya:お店ならではのサービスなどもあるんですか?
crafsto 久保:オンラインストアでもお問い合わせがあった際には一部対応をしているのですが、店舗ではサンプルをお見せしながら名入れのサービスを行っています。一か所1,500円で指定の場所に名前を入れることができますよ。
ちなみに、糸の色も変えることができます。
crafsto 久保:どこにでも名前は入れることができるので、迷う方も多いです。目立たせたいか目立たせたくないかなど、バランスを見ながら一緒にお話をしながら決められています。
Takuya:ステッチの色も変わると、印象変わりますね。
crafsto 久保:基本的には革の色にあった糸を使うのですが、コントラストをきかせたいときはネイビーに明るめの色を入れたり。
ゆくゆくはオンラインでもできるようにしていく予定です。けど、店舗ならではで一緒に選ぶのも続けていきたいと思っています。
Takuya:オンラインで一人で悩んでしまう方には店舗がおすすめですね。ぼくは店舗で相談に乗ってもらいたい派です。
現代のライフスタイルに対応し続ける。伝統を超えるものづくり
Takuya:実際に作っている職人の方と話せるなど、とても楽しい接客体験でした。革って奥が深そうでわからない方も多いと思いますが、色々な商品を見ながらたくさん話せるのは新鮮です。
crafsto 久保:まずは商品を見て、いいと思ったものを手に取り、ストーリーを聞いたうえで決めるのが一番いいと思っています。
素材も違いますし、どういう人が作っているかなど。商品の背景でだれも犠牲になっていないかなどそういった考え方がこれから大事ですよね。
Takuya:もはや安すぎると怖いですよね。こういったお話を伺えると友だちにも教えたくなります。
ちょうど新商品が出ましたよね、いま一番欲しいので紹介してください!
crafsto 久保:MacBookに対応しているPCのスリーブケースです。こちらは全サイズに対応できるようになっています。
crafsto 久保:特徴としては、内装も含めて全体をブライドルレザーで作っています。中はエクセーヌという摩擦に強い人工皮革。ちゃんとPCを守れるようになっていますよ。
Takuya:スエードみたいな質感ですね。
crafsto 久保:エクセーヌはスエードよりも耐久性が高いんです。表側はデザイン。内側は機能にこだわりました。
Takuya:これで打ち合わせに来られるとかっこいいですね!PCのスリーブケースってあまりレザーブランドさんでは見ないですよね。
crafsto 久保:伝統的に同じものを作り続けるのではなく、我々はいま必要な道具を作っていきたいと思っています。
時代に応じてわくわくするものを作り続けたい。ただ丈夫なだけではなくって、魅力的なものを作ることが大事だと思っています。
Takuya:今日ご紹介いただいたL字財布もキャッシュレスのいま必要な道具ですよね。
crafsto 久保:作る際に革の厚みを出せば強度は上がりますが、スタイリッシュさに欠ける。美しさを維持しながら強度を出す。これがものづくりでチャレンジしているところです。
Takuya:あっという間の時間でした。最後にメッセージをお願いします!
crafsto 久保:お店にぜひ気軽に。こういうご時世ですが、来店予約という形をとり配慮しています。ぜひ見に来ていただきたいです!
Takuya:すごくアットホームな空間で、実際にお仕事をしている様子も見れる貴重な体験になります。是非皆さんも遊びに来てはいかがでしょうか?
編集後記
職人の方にお話を伺える贅沢な空間。想像以上にアットホームで驚きました。来店予約って少し緊張しますが、気負わず体験してみたいですね。編集部のTakuyaはPCケースに大満足。この後実際に買ってみたそう。すぐダメになって捨てるより、長く大事に使う生活に憧れますよね。5PMでは、「本当に欲しかったモノと暮らしていく」ことを叶える、誰かに教えたくなるブランドを今後もご紹介していきます。次回もお楽しみに。
2021.03.29